神奈川県藤沢市にある歴史的建造物で、保存運動が進められている「旧モーガン邸」から2日午前5時半ごろ、火が出ているのを近所の住民が発見し、消火活動が行われたが、約112平方メートルの邸宅と、隣接する別棟の合計約250平方メートルをほぼ全焼した。同邸は昨年5月にも放火とみられる火災で焼失しており、修復中だった。神奈川県警藤沢署では今回の火災も放火の可能性があるとみて調べている。
昨年5月の火事で、一躍注目を浴びる形になってしまった旧モーガン邸が、2度目の災難に見舞われた。
不審火ということしか分からなかった昨年5月12日の“ナゾの火災”では、木造2階建て約280平方メートルの多くが焼失した歴史的建造物。その後は修復のため、仮の屋根を取り付けるなどしていた。今回の火災について藤沢署などの調べによると、火は、同邸と十数メートル離れた木造平屋の別棟からほとんど同時に出火したといい、近所の人が119番通報したが、修復中だった同邸約112平方メートルと、別棟との合計約250平方メートルがほぼ全焼。玄関ドアのガラスは飛び散り、周囲には黒い燃えかすが広がったほか、建物を囲んでいた足場や、ネットも焦げた。
旧モーガン邸は、JR東京駅前にあった旧丸ビルなどを設計した米国の建築家J・H・モーガン氏が、1931年に神奈川県藤沢市に自宅として建造。昭和初期の洋館として、市民団体「旧モーガン邸を守る会」などが保存運動をしていた。歴史的建造物として月に1度開放されていたという。
だが、市関係者によると、市民の中には「なぜ税金で管理するのか」など保存の動きに反対する声も存在していたという。
出火原因は明らかになっていないが、600平方メートル以上ある敷地内に人は住んでおらず、電気もガスも使用していないことから、警察では放火とみている。「守る会」の徳重淳子代表は「前回、焼け残った道具なども焼失してしまい、言葉にならない。修復についても今は考えられない」と肩を落とした。だが、捜査関係者などによると「建物は募金を集めるなどして、再び復興される見通しのようだ」というが、市関係者は「また放火されなければいいが…」と、新年早々の火災に弱り果てていた。
◆旧モーガン邸 神奈川県藤沢市の洋館。米国人の建築家J・H・モーガンが、1931年に自宅として建造。約2000坪の庭園内に建ち、オレンジ色の瓦屋根が特徴。モーガン氏の死後、取り壊して宅地にする計画が持ち上がったが、地元住民が保存運動に乗り出し、05年に財団法人「日本ナショナルトラスト」と藤沢市が共同取得していた。
参照元:スポーツ報知