日本たばこ産業(JT)と即席めん最大手の日清食品が、冷凍食品大手の加ト吉を共同で買収する方針を固めたことが20日、分かった。不正会計問題の影響で赤字に陥り再建を進めたい加ト吉と、少子高齢化で国内消費の伸びが期待できない中で規模拡大による基盤強化を狙うJT、日清の思惑が一致した。
JTは既に加ト吉の株式の約5%を保有、社長も送り込んでいる。近く友好的な株式公開買い付け(TOB)を行い株保有比率を過半数に引き上げ、日清も相当数の株を取得する方向で調整しており、買収額は計1000億円近くになる見込み。その上で3社の食品事業を連携、強化する計画だ。
買収成立後、加ト吉は食品事業に経営資源を集中し、財務体質を改善するため不動産の売却などを進める。JTなど2社の保有比率が高まると、市場に流通する株式が少なくなり加ト吉は上場廃止となる可能性もある。
加ト吉は循環取引と呼ばれる不正会計が3月に発覚、香川県警が元常務宅を家宅捜索した。2007年3月期連結決算は純損失が98億円と過去最悪の赤字となり、創業者の社長が引責辞任しJT出身の社長が就任。原材料価格の上昇も収益を圧迫しており、立て直しが課題となっている。
JTは、喫煙率低下で国内市場が縮小しており、海外事業や食品事業などを強化する戦略を展開。日清も国内の即席めん市場で圧倒的なシェアを誇るが、市場自体が縮小傾向で、冷凍食品などの強化が急がれていた。
◆加ト吉 1956年創業の大手冷凍食品会社。本社は香川県観音寺市。うどんやエビフライなど幅広い冷凍食品を製造・販売し、グループで外食事業やホテル運営も手掛ける。帳簿上だけで商品の売買を繰り返す循環取引と呼ばれる不正会計が今年春に発覚した。2007年3月期連結決算の売上高は3486億円、純損失は過去最悪の赤字となる98億円だった。従業員は約950人。
◆日本たばこ産業(JT) 前身は1949年設立の日本専売公社。公社や専売制度の改革を求めた臨時行政調査会の答申を受けて専売改革関連法が成立、85年に日本たばこ産業としてスタートした。94年に東証1部へ上場。積極的な企業買収戦略を進め昨年末には英たばこメーカー、ギャラハー・グループを2兆円超で買収すると発表した。2007年3月期の連結売上高は4兆7693億円。グループの従業員は約3万3000人。
◆日清食品 即席めんの最大手。創業者の故安藤百福氏が研究を続け、1958年に世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」の商品化に成功した。71年にはカップめんの原点でもある「カップヌードル」を発売。2006年には、米系投資ファンドから敵対的な株式公開買い付け(TOB)を仕掛けられた明星食品に対し、友好的な対抗TOBを実施、子会社化した。07年3月期の連結売上高は3582億円。従業員は約1300人。
参照元:スポーツ報知