◆北京五輪 柔道女子63キロ級(12日・北京科技大体育館) 谷本が、歴史に刻む連覇達成だ! 柔道女子63キロ級の谷本歩実(27)=コマツ=が、オール一本勝ちで前回アテネ大会に続く2大会連続の金メダルを獲得。決勝でドコス(フランス)を豪快な内またで倒した。柔道女子での五輪V2は、48キロ級の谷亮子(32)以来、史上2人目の快挙。10日の男子66キロ級・内柴正人(30)との“アベック連覇”で日本柔道に2つ目の金をもたらした。
笑顔のV2だ。アテネ以降3戦全敗のライバルとの決勝。1分26秒。谷本は相手の大内刈りをすかし、内またでぶん投げた。ぼう然とするドコスの横で、両手を上げて何度もガッツポーズ。「うれしいの一言に尽きます。一本を取る柔道が貫けてよかった」。満面の笑みで会場の声援に応えた。ドコスは70キロ級へ階級変更するため、これが最終戦。「不思議な気持ちだった」表彰式で君が代が流れると、今度は涙がほおを伝った。
4年前のアテネ五輪。5試合を合計5分足らずで相手の棄権1試合を挟み、すべてを一本勝ちというド派手な柔道で頂点に立った。今大会も4戦オール一本勝ちだったが、初戦の2回戦から準決勝までは寝技で決めた。「やってきたのは一本を取る柔道。寝技も練習してたから実になってよかった」。昨年から続く腰痛で、決して万全とは言えない中での連覇達成。五輪女王は堅実な戦いも身につけ、ひと回り大きくなって五輪に戻ってきた。
アテネで歓喜の抱擁を交わしたバルセロナ五輪金メダリストの古賀稔彦氏が、05年で強化スタッフを離れた。「自分の柔道が止まってしまう」心配していた谷本に1枚の色紙が届いた。「これからは一人でもやる」「もう一花咲かせよう」そしてひときわ大きな文字で「磨け」。恩師の言葉に涙が出た。
アテネ後は結果が出せずに苦しい時期もあった。「もう柔道ができないかも」と思うほどの腰のけがもあった。それでも周りの助けも受けながら一人で乗り越え、この日、真の女王になった。
力をもらった。10日に初めて試合会場を訪れると、目の前で内柴が連覇を達成。「勝つべくして勝つ選手を見た。すごい勇気づけられた」。さらに選手村で同部屋だった谷も、息子の病気で緊急帰国する際に窓の外から「頑張って」とエール。「グッときちゃった。走って追いかけたけど、間に合わなかった。でも一番のパワーをもらいました」。銅メダルに終わった谷の無念も晴らした。
V2で記録の上では谷に並んだ。それでも尊敬する大先輩。「まだまだです。(谷の)記録を超える? とんでもない」と謙遜(けんそん)した。ふと、金メダルに目を落としニッコリ。谷本には笑顔が一番似合う。
◆谷本 歩実(たにもと・あゆみ)1981年8月4日、愛知・安城市出身。27歳。柔道は9歳から大石道場で始める。桜丘高から筑波大へ進学。コマツ所属。04年アテネ五輪金メダル。世界選手権は01年3位、05年2位、07年3位。攻撃的な柔道が持ち味で、得意技は払い腰、内また。血液型A。158センチ、63キロ。家族は両親と兄、妹、祖父母。
参照元:スポーツ報知